緑ナンバーの資金要件は「2,000万円」ではなく積み上げ計算
準拠した制度: 令和7年時点の一般的な運用
要点
- 資金要件は「いくら」ではなく「何を何か月分積み上げるか」で決まる計算式です
- 人件費6か月分、燃料費・修繕費等2か月分、車両費・施設費・保険1年分が基本の構成です
- 事業計画(車両台数・営業所の規模)によって金額は変わります。ですから相場に幅があります
- 自己資金は申請日から許可日まで、常に所要資金額以上を維持する必要があります
- 標準処理期間はおおむね3〜5か月です
「2,000万円」は結果であって基準ではありません
緑ナンバーの資金要件を調べると、1,500万円から3,000万円という幅のある数字が出てきます。この幅を見て「結局いくら要るのか分からない」となりやすいのですが、幅があるのには理由があります。資金要件は固定額ではなく、事業計画に応じた積み上げ計算の結果だからです。
車両を5台で始めるか10台で始めるかで人件費は変わりますし、営業所を借りるか自己所有の土地を使うかで施設費も変わります。ですから同じ「一般貨物の許可」でも、事業者ごとに必要な金額は違います。
計算式を知っていれば、自分の場合はいくらになるかを先に見積もれます。
何を何か月分積み上げるか
所要資金の算定は、おおむね次の項目を積み上げる形になります。
| 項目 | 期間 |
|---|---|
| 人件費 | 6か月分 |
| 燃料費・油脂費・修繕費・その他経費 | 2か月分 |
| 車両費・施設費 | 1年分(または取得価額の全額) |
| 自賠責保険 | 1年分 |
| 自動車重量税・自動車税・環境性能割・登録免許税 | 1年分 |
| 任意保険 | 1年分 |
人件費と燃料費だけ期間が短いのは、運転資金として最初の数か月を乗り切れるかを見る趣旨だと考えると分かりやすくなります。車両や保険は先に確保しておく必要があるので1年分で見ます。
車両5台・運転手5人という最小規模のモデルケースで試算すると、この積み上げで1,500万円台になることが多いです。車両台数を増やしたり、車庫を新たに借りたりすると、そのぶん上振れします。
自己資金は「そのとき」だけでなく「期間中ずっと」要ります
ここが見落とされやすいところです。所要資金の100%以上にあたる自己資金が必要ですが、それは申請時に一度あればいいわけではありません。
申請日から許可が下りる日まで、常に所要資金額以上の残高を維持している必要があります。預金残高証明書は申請時と許可直前の2回提出する運用が一般的で、この間に資金を他に使ってしまうと、許可が下りない、あるいは差し戻しになります。
標準処理期間はおおむね3〜5か月とされています。この期間、事業を始めていないのに資金を寝かせておく必要があるということでもあります。運転資金と別に、この期間分の余裕を見ておかないと資金繰りが苦しくなります。
軽貨物からの切り替えで足りないもの
軽貨物(黒ナンバー)から緑ナンバーへ進む場合、車両・運転手・実務経験はすでにあることが多いです。新たに要るのは、運行管理者と整備管理者という2つの資格者、それにまとまった自己資金です。
運行管理者は、資格者を雇うか、自分で試験に合格するかのどちらかで確保します。整備管理者も同様に、一定の実務経験か資格が要ります。どちらも軽貨物の段階では必要なかった体制で、ここから新たに用意することになります。
そして資金です。軽貨物1台分の運転資金とは桁が違います。実務上、これが最大のハードルになることが多いです。
つまずきやすい点
- 資金を借入で用意する場合も、要件を満たせば認められます。ただし借入の実行が確実であることを示す資料が要ります
- 車両や施設をすでに持っている場合は、取得価額を計上できます。ゼロから資金を積む必要はありません
- 審査期間中に資金を動かすと差し戻しの原因になります。事業とは無関係の大きな支出を計画している場合、時期をずらしてください
- 人件費の算定は計画車両数に見合った人数で行います。実際に雇う予定より多く申請しても通りません
関連する手続き
営業所・車庫の要件は許可要件(営業所・車庫・欠格事由)に、運行管理者・整備管理者の確保は運行管理者・整備管理者の選任にまとめてあります。行政書士に頼む場合の費用は行政書士に頼むと報酬が2倍以上違うを、軽貨物からの切り替えを検討している場合は切り替えの判断基準をご覧ください。
参照した一次資料
- www.mlit.go.jp
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk4_000102.html
このページの制度に関する記述は、上の資料を2026-08-02時点で確認して書いています。 確認できなかった項目は本文中でその旨を明記しています。
この手続きの前後
- 車庫が営業所と離れていても、10kmまでなら許可は通る
一般貨物自動車運送事業の許可要件には、営業所・車庫・休憩睡眠施設の距離制限があります。原則10km以内、東京都特別区・横浜市・川崎市は20km以内。欠格事由に該当すると、資金があっても許可されません。
- 軽貨物の運行管理経験は、運行管理者試験の実務要件に数えられない
運行管理者試験の受験資格になる実務経験は、貨物軽自動車運送事業を除いた事業用自動車の運行管理に限られます。軽貨物での経験は資格要件に算入されず、基礎講習を受けるか資格者を雇うことになります。
- 法令試験に2回落ちると、許可申請は却下されて振り出しに戻る
一般貨物自動車運送事業の許可には、申請者(役員)が受ける法令試験があります。合格率は5〜6割程度で、2回不合格になると申請そのものが却下され、また一から申請をやり直すことになります。