軽貨物の安全管理者、既存事業者の期限は2027年3月31日
準拠した制度: 令和6年10月1日公布 / 令和7年4月施行(改正貨物自動車運送事業法)
要点
- 2025年4月から、貨物軽自動車運送事業者は営業所ごとに安全管理者を選任する義務を負います
- 台数の要件はありません。一人で車1台でも対象になります
- 既存事業者の期限は2027年3月31日です。これから開業する方に猶予はありません
- 届出を怠る、または虚偽の届出をすると100万円以下の罰金です
- 講習は5時間、NASVAの場合3,700円。選任日の2年以内に修了している必要があります
台数要件はありません
まずここを潰しておきます。
「4台以上が対象」という説明を見かけますが、選任義務に台数の条件はついていません。国土交通省は令和7年4月1日からすべての貨物軽自動車運送事業者を対象としています。除かれるのはバイク便事業者だけです。
義務は「営業所ごと」にかかります。一人で開業して自宅を営業所にしていても、営業所は営業所です。つまり自分で講習を受け、自分を選任し、自分で届け出ることになります。
期限は事業者によって違います
2025年3月31日までに経営届出を済ませていた方は、2027年3月31日が期限になります。施行から2年の経過措置です。
2025年4月1日以降に届け出る方に、猶予はありません。届出のあと、運送を始める前に選任します。
まだ先に見えるかもしれません。ただ、期限つきの制度は締切前に受講が集中して予約が取れなくなるのが常で、実質的な締切はもっと手前にあります。
講習は5時間、3,700円です
選任される方は、選任の日前2年以内に貨物軽自動車安全管理者講習を修了している必要があります。順序が逆になると要件を満たしません。受けてから選任します。
自動車事故対策機構(NASVA)の場合、所要5時間、受講料3,700円です。国土交通省に登録された講習機関は11あり、うち4機関がeラーニング、7機関が対面で実施しています。eラーニングを選べば移動と日程の制約がかなり減ります。
すでに一般貨物または特定貨物の運行管理者に選任されている方は、この講習なしで安全管理者になれます。緑ナンバーの事業も持っている場合は確認する価値があります。
選任後は定期講習の受講も制度に組み込まれています。一度受けて終わりではありません。
届出でつまずくところ
選任したら、運輸支局を通じて国土交通大臣あてに届け出ます。届出書には事業者名、管理者の氏名と生年月日、選任日と講習修了日を書きます。
添えるのは講習修了証明書の写しです。運行管理者としての資格で選任する場合は、選任されていることを証する資料に替わります。
罰則は、選任または解任の届出をしなかった場合と、虚偽の届出をした場合に100万円以下の罰金です。金額としては軽くありません。
ただ実務でより早く効くのは、元請けとの関係のほうです。荷主や元請けが委託先の法令遵守を確認する流れは強まっていて、未選任のまま放置していると受注に響きます。罰金より先にこちらが来ます。
2025年4月に増えた義務は他にもあります
安全管理者ばかり話題になりますが、同じ改正で日常業務の義務が3つ増えています。こちらには猶予期間がなく、すでに始まっています。
| 義務 | 内容 | 保存期間 |
|---|---|---|
| 業務記録 | 毎日の業務の開始地点・終了地点、従事した距離など | 1年 |
| 事故記録 | 事故の概要、原因、再発防止対策 | 3年 |
| 事故報告 | 一定規模以上の事故を国土交通大臣へ報告 | — |
一人で走っている事業者ほど、業務記録が抜けやすくなります。毎日の記録を1年分残すというのは、後から遡って作れる性質のものではありません。
さらにもう一つ期限があります。事故を起こした運転者、初任運転者、高齢運転者に対する特別指導と適性診断が義務化され、こちらは施行から3年、2028年3月末までの猶予が設けられています。従業員を雇う予定があるなら覚えておいてください。
つまずきやすい点
- 講習が先、選任が後です。制度上の要件なので、後から辻褄を合わせられません
- 修了証明書には2年の期限があります。早く受けすぎて、選任のときに2年を過ぎていると要件から外れます
- 営業所を移転したら届け直しになります。自宅を営業所にしている場合、引っ越しがそのまま届出事由になります
- 車両を増やしても管理者は増えません。選任の単位は営業所であって車両ではありません
関連する手続き
これから開業する方は、黒ナンバーの届出と講習の予約を並行して進めることになります。すでに事業をやっていて営業所の情報が変わっていない方は、講習を受けて選任届を出せば済みます。安全管理者の選任とは別に、拘束時間・休息期間の管理を怠った場合にどう処分されるかは改善基準告示に違反すると、車両停止が10日単位で積み上がっていくをご覧ください。
参照した一次資料
- www.mlit.go.jp
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha02_hh_000665.html - www.mlit.go.jp
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk2_000173.html - www.nasva.go.jp
https://www.nasva.go.jp/fusegu/kamotsu_kousyu.html - wwwtb.mlit.go.jp
https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/jidou_gian/seibikanrisya/kamotsukeikanrisha.html
このページの制度に関する記述は、上の資料を2026-08-02時点で確認して書いています。 確認できなかった項目は本文中でその旨を明記しています。
この手続きの前後
- 改善基準告示に違反すると、車両停止が10日単位で積み上がっていく
拘束時間・休息期間・連続運転時間の上限は努力目標ではありません。違反は労働基準監督署と運輸支局という別々の窓口から処分され、運輸支局側は10日車を1点として累積し、50点で事業停止、80点で許可取消に進みます。
- Gマークの事故率は、未取得事業所の半分以下
Gマーク(安全性優良事業所)は101点中80点以上でクリアする認定制度で、保険料割引やIT点呼の優遇など12項目のインセンティブがあります。有効期間は初回2年、以降段階的に延び最長4年です。
- 点呼は対面が原則。対面できないときだけ他の方法が使える
運転者への点呼は対面が基本で、対面によれない場合に限り電話などの代替方法が認められます。2泊3日以上の運行では中間点呼も必要になります。アルコールチェッカーによる酒気帯び確認は2023年12月から必須です。