運賃料金表には様式がない。だから自分で組む
準拠した制度: 令和7年4月時点
要点
- 運賃料金表に決まった様式はありません。金額は自分で決めて届け出ます
- 構成は決まっています。距離制運賃、時間制運賃、割増、諸料金の4つです
- 国土交通省の「標準的な運賃」は一般貨物のもので、軽貨物には適用されません
- 元請けの単価が決まっていても、料金表は自分の名前で作ります
標準的な運賃は使えません
先に誤解を潰しておきます。
国土交通省が告示している「標準的な運賃」は、一般貨物自動車運送事業、つまり緑ナンバーを対象にしたものです。軽貨物には適用されません。あの表を写して出す、という近道はありません。
代わりの手がかりになるのは、各運輸支局が公開している記載例です。金額は入っていませんが、どういう項目を並べるべきかがわかります。まずこれを見て、枠を作るところから始めてください。
4つの構成
記載例をなぞると、料金表はこの順で組まれています。
距離制運賃
1回の運送ごとの実車キロ数で決めます。経路が複数ある場合は最短経路のキロ数で計算する、という前提が置かれています。何キロまでいくら、という刻みを自分で決めて表にします。
時間制運賃
時間で決める場合の表です。走行キロと時間の計算は、荷主が指定した場所に到着した時点から、作業を終えて車庫に戻るまでを対象にします。帰りの時間も含まれる点は、金額を決めるときに効いてきます。
割増
休日割増、深夜・早朝割増、冬期割増です。深夜・早朝は22時から翌朝5時までの配達距離に対してかける形が記載例に載っています。
諸料金
待機料、積込料、取卸料、高速道路料金の扱いなどです。ここを空欄にしたまま出す方が多いのですが、後で荷主と揉めるのはたいていこの欄です。
元請けの単価があっても、料金表は自分で作ります
軽貨物で始める方の多くは、元請けと業務委託契約を結び、1件いくら、1日いくらという単価で走ります。自分で運賃を決める場面がありません。
それでも届け出るのは自分の料金表になります。委託契約書の添付では代えられません。
矛盾しているようですが、制度上は「あなたが荷主から直接受注したときの運賃」を出しておく、という位置づけです。将来的に自分で荷主を取る可能性があるなら、そのときに使える現実的な金額を入れておくと、後で困りません。あとから変更届を出すこともできます。
つまずきやすい点
- 提出は2部です。届出書と同じく、提出用と控えの2部が要ります。控えには受理印が押されます
- 金額の妥当性は審査されません。届出制なので、高すぎる安すぎるで突き返されることはありません。ただし極端に空欄が多いと、その場で書き足しを求められます
- 消費税の扱いを決めておいてください。表示を税抜にするか税込にするかを冒頭に書いておかないと、後で解釈が割れます
- 変更したら届け出ます。料金を改定したら運賃料金変更届出書を出します。出さずに実際の請求だけ変えている事業者は多いのですが、制度上は届出が要ります
関連する手続き
料金表は経営届出と同時に出すので、先に届出全体の流れを押さえておくと二度手間になりません。届出が終わったら、次は事業用の任意保険と貨物保険を決める段階になります。
参照した一次資料
- wwwtb.mlit.go.jp
https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/s_chiba/date/202101/kk_example_210101.pdf - www.mlit.go.jp
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk4_000010.html - www.mlit.go.jp
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk4_000118.html
このページの制度に関する記述は、上の資料を2026-08-02時点で確認して書いています。 確認できなかった項目は本文中でその旨を明記しています。
この手続きの前後
- 黒ナンバーは届出だけで取れる。つまずくのは運賃料金表
軽貨物の開業は届出制。運輸支局への手数料はかからず、実費はナンバープレート代の2,000円前後だけ。書類4種類のうち運賃料金表だけは様式がなく、自分で中身を作ります。
- 黒ナンバーの保険は2階建て。任意保険だけでは荷物を守れない
事業用の任意保険は自家用と別区分で、引き受ける会社も限られます。さらに預かった荷物の損害は自動車保険では基本的に補償されず、貨物保険を別に用意する必要があります。
- 軽貨物の開業費用は、車両を買うかリースするかで半分近く変わる
軽貨物の開業費用50万〜200万円という幅は、車両を新車で買うか中古で買うかリースにするかで生まれます。新車なら100万円超、中古なら数十万円、リースなら初期費用ゼロに近づきます。