運送業のしごと 手続きと制度を、現場の側から
法令を守る 一次資料で確認 2026-08-02 更新 2026-08-02

荷待ちの記録は、荷主を国交省に勧告させるための証拠になる

要点

  • 2024年4月から、荷主の事業場での荷待ち・荷役の時間と作業内容を記録する義務があります
  • 記録項目は荷主名・集配地点・荷待ちと積込み・取卸しの開始終了日時です
  • 記録は1年間保存します
  • この記録は、国交省が荷主に是正を勧告する「荷主勧告制度」を動かす証拠になります

記録するのは運転者ではなく、事業者の義務です

改善基準告示の記事で、拘束時間には荷待ちの時間が含まれると触れました。その荷待ちの実態を記録することが、2024年4月から事業者に義務づけられています。

記録する項目は次の5つです。

  • 荷主の氏名・名称
  • 集貨・配達地点
  • 荷待ちの開始・終了日時
  • 積込みの開始・終了日時
  • 取卸しの開始・終了日時

運転日報への追記や、スマートフォンアプリなどのデジタルツールでの記録が認められています。記録は1年間保存する必要があります。

この記録が、荷主を動かす武器になります

記録を取る目的は、社内の管理のためだけではありません。荷主勧告制度という仕組みの証拠として機能します。

運送事業者が改善基準告示などの法令違反を起こした場合、その原因が荷主の都合(長時間の荷待ちなど)にあると認められれば、国土交通大臣が荷主に対して是正措置を勧告できます。運送事業者だけが処分される一方的な構造ではなく、原因を作った荷主側にも責任を問える制度がある、ということです。

ただし、勧告が動くには「荷主の都合で違反が発生した」ことを示す証拠が要ります。日頃から荷待ちの記録を取っていなければ、この制度を使う土台がありません。

標準的な運賃と待機料

荷待ちが30分を超えると、標準的な運賃の枠組みでは待機時間として別途の料金計算対象になるとされています。記録を取っていれば、この待機時間分の請求根拠にもなります。荷待ちが常態化している取引先があるなら、記録は交渉の材料にもなりえます。

2026年度までに、大手は削減計画の策定が全面義務化されます

2024年2月の閣議決定で、大手の荷主・運送事業者には荷待ち時間削減計画の策定が義務づけられ、2026年度までに全面的に施行されることになっています。荷主側にも対応が求められる流れが強まっています。

つまずきやすい点

  • 記録を「面倒な事務作業」として後回しにしないでください。荷主勧告制度を使うための唯一の証拠になります
  • 1年間の保存義務を忘れないでください。記録していても保存していなければ意味がありません
  • 荷待ちが恒常化している取引先ほど、記録を丁寧に取ってください。交渉や勧告制度の活用につながる可能性があります
  • 標準的な運賃の待機料の考え方を知っておいてください。30分超の荷待ちは料金交渉の根拠になりえます

関連する手続き

拘束時間に荷待ちが含まれる仕組みと違反時の処分は改善基準告示に違反すると、車両停止が10日単位で積み上がっていくにまとめてあります。

この手続きの前後